FUNKY'S HIGH about funky. I like SUMMER

日本の夏は、いいね。

青い空と白い雲。まぶしい海と海の家。蚊取り線香にナイター中継。焼き鳥とビール。縁側で食うスイカ。セミの声と麦わら帽子。田園風景とカエルの鳴き声。風鈴とかき氷。夏祭りと打ち上げ花火。蛍の光と浴衣とうちわ。星空の下と彼女の声?

基本的に、外で過ごしたいんだよね。部屋の中は窮屈で。
ビール飲むのも、メシ食うのも、パソコンするのも、音楽聴くのも、寝るのも、全部、外でやりたいんだ。
夏の日の、朝から深夜まで、自分の最高に心地いい場所で。
海が見えて、テーブルとイスがあって、バイクが側にあって、バーベキューもできて、音楽流して、太陽と風を感じて。

まあでも、日本って国は、色々な夏があって、どれも楽しい。


東京の渋滞まみれの夏

都心の暑さは日本一かもしれない。照りつける太陽とアスファルトからの照り返し。渋滞の車から出る熱と、煙たい排気ガス。ビルのエアコンからは湿り気のある熱風。すり抜けをしても、すり抜けをしても、車の列は終わらない。信号待ちの隣の車の中では、涼しそうにカップルがいちゃついている。

そんな都心から離れたくて、西へ進路をとる。それでも渋滞は終わらない。海風に当たりたくて湘南へ行くが、ファミリーもカップルも、渋滞にはまって苛ついている。その道路から見えるビーチは、海水浴客で渋滞。
首都圏ってのは、いったい何人住んでるんだ?

西湘バイパスをぶっ飛び、熱ダレしたエンジンに風を与えることが出来たと思ったら、伊豆へ向かう車で渋滞。

コンビニでジュースを買うのにも、レジの前で渋滞。

ジュースを飲み、タバコで一服する。遠くの山は汚い空気で霞んで見える。全身の毛穴から吹き出る汗。さあ、今日はどこまで行ってやろうかな?と考える。
まるで、初めてバイクに乗ったときに感じた、自分はこのままどこまでも走り続けることが出来るんじゃないだろうか?というあの感覚。それに似た、どこまでも続く夏。

夜になっても渋滞は終わらない。高速のパーキングの女子トイレの前には、ガキから老人まで、程良く渋滞。インター出口では、降りる車が本線の左路肩を占領するように渋滞。

アホか!と思うが、自分もその中の一人。慣れりゃ、これも夏の風物詩。おもしろいもんだ。

やっと部屋へ戻り、ビールを一杯。テレビからは伝統の阪神巨人戦。ベランダへ出て、タバコを吸う。部屋から漂う蚊取り線香の匂いに、田舎の懐かしさを感じる。


穏やかな瀬戸内の海の夏

強い日差しに汗が噴き出すが、東京のようにむさ苦しくない。穏やかな海には、無数の島が浮かんでいる。砂浜は白く、今すぐにでも飛び込みたくなる気持ちにさせる。

ビーチへ出ても、場所取りに苦労することはない。ビールを飲み、肉を焼き、泳ぎ、寝る。都心の雑踏を体験した人間には、とても同じ国とは思えないような、ゆっくりとした時間の流れ。

きれいな夕焼けと夕映え。ビールを飲んだ後に歩く繁華街は、心地いい風が吹き抜ける。

島の海沿いの道端では、年老いた夫婦が座り込み、星空を眺めながら、いつまでも、いつまでも、二人で話をしている。

ここには、昔から変わらない、日本の夏があるのかもしれない。


北海道の大陸的な広さの夏

遠くに見える山並み。先の見えない直線道路。牧場に放たれている牛と馬。
バイクで走る北海道の夏は最高だ。
すれ違う、すべてのライダーにサインを出す。

ピースサインってみんな言っているけど、オレはグッドラックサインだと思っている。
バイクという乗り物と一緒に、同じ時間、同じ場所を、すれ違うほんの一瞬だけ共有出来る仲間みたいなヤツ。

名前も知らない。フルフェイスなら、顔も見えない。どこから来たのか、どこへ行くのか。
でも、そのすれ違う、ほんの一瞬に、「やあ、元気? 楽しいかい? それじゃあ、気をつけて」そんな思いを込めて、グッドラック。
もちろん、手を挙げるのは左手で、人差し指と中指を重ねる、外国生まれのサイン。

今までの人生で、いったい何人と、このサインを交わしただろう?晴れの日も、雨の日も。

北海道に住んでいる時は、地元ナンバーたったから、なんとなく、北海道ツーリングという特別なイベントに来るライダーの心を、すべて理解する事は出来なかった。

でも、北海道を離れて数年後、実家へ帰るという目的ではなく、純粋に北海道ツーリングへ出かけたとき、初めて、特別な地である事を実感できた。

本当に夏と呼べるような日は、10日くらいしかない。日本で一番短い夏。
もう、この先、北海道に住むことはないと思う。だから、1年に1回くらいは、北海道ツーリングへ出かけたいね。