怒ったね。マジで。

あれはたしか、2000年の夏の事だった・・・

「さーて、今日もいい天気だ。どーこ行こうかな〜」
今日も真夏の太陽がオレを誘っていた。愛車に跨り、宮崎台駅前の坂道をゆっくりと上っていた。

普通の路地ほどの道の反対車線側に、一台車が駐車していた。こんな道では、オレは飛ばさない。歩行者にはやさしい運転を心がけている。

「なっっ!!!」

その時、反対車線から下ってきた車が、オレの優先を無視して突っ込んできた。
急ブレーキで路肩へ、そして、その車は何事もなかったかのように、坂を下っていった。

ブチギレた!!
すぐさまUターンして追いかける!
その車は坂道の下の赤信号で止まっていた!
運転席の横に止まり、バカデカイ声で怒鳴りつける!

「てめぇー、ちょっとまてゴルァ!! なに突っ込んできてんだよ!! オレが優先だろゴルァ!!」

運転席の若い男がぼけた面して窓を開ける。

「おらぁ、ガキィー、オレだから止まれてぶつかんなかったんだぞゴルァ!わかってんのかー!」

「はあ」

「はあじゃねーぞコノォー! どっかの運転へたなババアだったらおまえひいてんぞこの! わかって運転してんのかゴルァ!」

「それはどうもすみませんねぇー」

若い男は、反省もクソもないような声で謝り、窓を閉めながら少し車を前進させた。

その態度に、もう完全にブチギレだっ!!

バコンッ!!
すかさず左足が運転席のドアに蹴りを入れる!
「テメェーなんだその態度は!フザケてんじゃぁねーぞゴルァ!!」

もう男は完全にビビッている。助手席には彼女らしい女が乗っているが、体が前を向いたまま凍っている。信号は既に青に変わり、そしてさらに再び赤に変わっていた。こちらの道へ入ってきたい車が曲がってきたため、仕方ないのでそろそろ解放してやることにする。

「テメェ、こんどあんな運転してみろよコノォ!!」

そう捨て台詞を吐き、オレは去っていった。


・・・2週間後、ワークブーツで蹴られて見事にへこんだフロントドアの、シルバーのR32スカイラインが、駅前道路をチンタラと走っていた。